自動車のカタログにはしばしば「総排気量2,000cc」「排気量3.5L」といった記載が見られます。
この記事では、
排気量が車にどのような影響を与えるのか、
税金や燃費による維持費の違い、
適切な排気量の選び方について解説しています。
車の排気量とその意味
車の排気量について詳細に説明すると、エンジンの構造に深く踏み込む必要があり、
それは車に詳しくない人にはやや複雑な内容になる可能性があります。
そこで、ここでは排気量の概念を非常に簡潔に説明します。
排気量とは、簡単に言えば「エンジンのパワー」を示す指標です。
エンジンのパワーが大きければ、車は加速性能が向上し、
少ないアクセル操作で速く走ることが可能です。
また、高速道路のような場所で速度を出して走る際にも、
エンジンの回転数を抑えつつ高速を維持できるため、
車内は静かで快適な走行が期待できます。
しかし、排気量が大きいほど、必要な燃料の量が増え、燃費は悪化します。
また、エンジン自体の重さも増加します。
排気量の確認方法
自動車の排気量は、「1.5L」や「3500cc」のように表示されます。
ここで、「L」と「cc」は同じ単位を表し、「1.5L」は「1500cc」に、
「3500cc」は「3.5L」に相当します。
自動車の排気量は、
各車種のカタログやメーカーの公式ウェブサイトで簡単に調べることができます。
通常、エンジンの詳細が記載された主要諸元表を参照します。
たとえば、トヨタのアルファードハイブリッドでは、
総排気量が2493ccと記載されており、
これは一般的に2.5Lまたは2500ccと表示されることが多いです。
「総排気量」と「排気量」は同じ意味で、
一般的に「総排気量」が正式な用語です。
また、自身の車の排気量を確認したい場合には、
車検証をチェックすることが推奨されます。
例として、ホンダのN-BOXの車検証を見ると、
「総排気量又は定格出力」と記載された欄に0.65Lとあります。
これは、軽自動車の排気量が660cc(0.66L)以下であることを反映しています。
排気量による違い
以前触れたように、排気量が大きくなるとエンジンのパワーが増し、燃費の悪化が伴います。
ここでは排気量の大小による具体的なメリットとデメリットをさらに詳しく掘り下げてみましょう。
大排気量のメリットは何ですか?
排気量が大きい車は、
最高速度の向上や加速力の強化といった走行性能が格段に向上します。
例えば、高速道路でのスムーズな合流や追い越し時にも、
アクセルを深く踏み込む必要が少なく、力強い加速が可能です。
これにより、運転中に余裕を持てるため、
長距離運転でも運転者の疲れが軽減されます。
また、低回転での十分な出力により、加速時でも車内は静かで、
快適なドライブ環境を維持できます。
大排気量車の維持費増加について
それでは順番に見て行きましょう!
自動車税の影響
自動車税は車の排気量に応じて変動します。
排気量が大きい車は、それに伴い税額も高くなるため、年間の税金負担が増加します。
以下に、乗用車と軽自動車の自動車税率を示す表を掲載します。
排気量(L) | 税額(円) |
軽自動車 | 10,800 |
1.0以下 | 29,500 |
1.0超~1.5以下 | 34,500 |
1.5超~2.0以下 | 39,500 |
2.0超~2.5以下 | 45,000 |
2.5超~3.0以下 | 51,000 |
3.0超~3.5以下 | 58,000 |
3.5超~4.0以下 | 66,500 |
4.0超~4.5以下 | 76,500 |
4.5超~6.0以下 | 88,000 |
6.0超~ | 111,000 |
例えば、トヨタのアルファード/ヴェルファイアで2.5Lエンジンを選択すると、
自動車税は年間45,000円になりますが、
3.5Lエンジンの場合は58,000円となり、13,000円の差が生じます。
このように排気量が大きいほど、毎年の自動車税の負担が重くなります。
自動車重量税の仕組み
自動車重量税は、車の重量に基づいて課税されるものです。
この税金は新車を購入した際や車検の時に支払われます。
表面上、排気量と直接関係がないように見えるかもしれませんが、
実際には大きな排気量のエンジンはより重いため、
より強力な車体が必要となり、それが重量税の増加につながります。大きな排気量の車は自動的に重たくなるため、自動車重量税も高額になります。
以下は自家用乗用車(定員10人以下)に適用される重量税の一覧です。
車両重量 | 免税 | 減税75% | 減税50% | 減税25% | 本則税率 | エコカー減税なし |
~500kg以下 | 0 | 1,800 | 3,700 | 5,600 | 7,500 | 12,300 |
~1,000kg以下 | 0 | 3,700 | 7,500 | 11,200 | 15,000 | 24,600 |
~1,500kg以下 | 0 | 5,600 | 11,200 | 16,800 | 22,500 | 36,900 |
~2,000kg以下 | 0 | 7,500 | 15,000 | 22,500 | 30,000 | 49,200 |
~2,500kg以下 | 0 | 9,300 | 18,700 | 28,100 | 37,500 | 61,500 |
~3,000kg以下 | 0 | 11,200 | 22,500 | 33,700 | 45,000 | 73,800 |
たとえば、トヨタのアルファード/ヴェルファイアで、
2.5Lエンジンを搭載するモデルは、2,000kg以下のカテゴリーに入り、
30,000円の自動車重量税が課されます。
一方で、3.5Lエンジンを搭載するモデルは、2,500kg以下のカテゴリーに分類され、
エコカー減税が適用されない場合は61,500円の税金が課せられ、その差は顕著です。
エコカー減税の基準と影響
エコカー減税の適用は主に車の燃費性能に基づいています。
そのため、排気量が大きく燃費効率が低い車は通常、エコカー減税の対象外となります。
例えば、トヨタのアルファード/ヴェルファイアで、
2.5Lエンジンの「G/V」グレードは自動車重量税25%と
自動車取得税20%のエコカー減税を受けることができますが、
3.5Lエンジンの「GF/VL」グレードはエコカー減税の対象外です。
この差異は車の初期購入費用、継続的な自動車税、
そして車検時の税金にも影響を及ぼし、経済的な負担が大きく異なります。
高排気量車の価格とメンテナンスコスト
排気量が大きい車は、高いパワーと加速力を持っていますが、
その強力な性能を支えるためには、より頑丈な車体やタイヤ、
サスペンションなどが必要になります。
これにより、大排気量の車は基本的な車両価格が高くなるだけでなく、
車検や故障時の部品交換コストも高価になる傾向があります。
高性能パーツは耐久性と安全性を保つための投資であり、
これが総合的な維持費に影響を与える重要な要素です。
排気量選択の重要ポイント
排気量を決めるときの重要なポイントをご紹介します。
使用目的に合わせた排気量の選び方
例えば、日常の買い物や近距離の移動が主な用途であれば、
大排気量車は不要であり、駐車場での扱いやすさを考慮すると、
軽自動車や小排気量のコンパクトカーが最適です。
無用なパワーを持て余すことなく、
使用目的に合わせた適切な排気量を選択することが重要です。
排気量と経済性のバランス
排気量が小さい車が必ずしも経済的とは限らないのが現実です。
例えば、軽自動車で重い荷物や多人数を頻繁に運ぶ場合、燃費が悪化し、
車への負担も大きくなりがちです。
一方で、1500~2000ccの中排気量車では、適度な余裕を持たせた運転が可能で、
長期的なコストパフォーマンスも向上します。
排気量を選ぶ際は、家族構成や使用頻度などを考慮し、
バランス良く決めることが望ましいです。
世界の巨大排気量車
排気量の大きさで記録を持つのは、
ブガッティの「タイプ41 ロワイヤル」で、
その排気量は12,763ccにもなります。
この車は1926年から1933年にかけてわずか6台のみ生産され、
その稀少性からオークション価格は約12億円に達することがあります。
これほどの排気量を持つ車の走行性能は、
一見の価値ありですね。
まとめ
- 排気量とはエンジンのパワーを示す指標で、エンジンのパワーが大きいほど加速性能が向上し、高速道路での走行時に高速を維持しやすくなる。
- 排気量が大きい車は燃費が悪化し、エンジンの重さも増加する。
- 排気量は「L」と「cc」で表示され、「1.5L」は「1500cc」、「3500cc」は「3.5L」に相当する。
- 自動車の排気量はカタログやメーカーの公式ウェブサイト、車検証で確認できる。
- 大排気量のメリットには、最高速度の向上や加速力の強化が含まれるが、維持費も増加する。
- 自動車税は排気量に応じて変動し、排気量が大きい車は税額が高くなる。
- 自動車重量税は車の重量に基づいて課税され、大排気量のエンジンは重いため税額が高くなる。
- エコカー減税は燃費性能に基づいており、排気量が大きく燃費効率が低い車は対象外となることが多い。
- 高排気量の車は基本的な車両価格が高く、車検や故障時の部品交換コストも高価になる。
- 使用目的に合わせて適切な排気量を選択することが重要で、軽自動車や小排気量のコンパクトカーが日常の買い物や近距離の移動に最適。
- 世界の巨大排気量車の例として、ブガッティの「タイプ41 ロワイヤル」があり、その排気量は12,763ccで、稀少性から高価格で取引される。